国際レースを視野に入れた番組編成を望む(3)

 何故、私がこれほど海外遠征に拘るのかというと、まずは今年のブリーダーズCの結果から、オールウェザーならアメリカ調教馬以外にも勝つチャンスが出てきたということ、さらに2010年からドバイワールドカップの賞金が2倍になることで、まさにワールドチャンピオン決定戦の舞台が整いつつあることを挙げたい。真の世界一を決めることが可能な舞台が調いつつあるのだ。もし、UAEとアメリカで最高峰レースを同時に勝つ馬が出てきた時、凱旋門賞の位置づけも大きく変わってくるに違いない。そうした意味でも、これまでクラシックやスプリントでアメリカ調教馬しか勝てなかったブリーダーズCで欧州調教馬が勝った意味は非常に大きいと思う。
 これは凱旋門賞でアメリカ調教馬が勝つに等しい快挙なのである。過去87回の凱旋門賞は3回のUAE所属馬(ラムタラ、サキー、マリエンバード)を除けば全て欧州馬で占められている。UAE所属の3頭にしても馬主がモハマドファミリーというだけで実際は欧州で走っていた馬ばかりである。これではヨーロッパチャンピオンであって、決してワールドチャンピオンとは呼べないのではないか。例えばドバイのシーマクラシックに前年の凱旋賞馬とブリーダーズCクラシックの勝ち馬とオーストラリアや南アフリカといった南半球のGⅠホースが一同に顔を揃えたらさぞすごいレースになるはずである。そうした意味でも欧州でもアメリカでもない第3国で開催される国際競争という点に意味があるはずである。JCもそうした意味合いで期待をしていたのだが、近年は日本馬が強くなり過ぎてしまったためか、ローテーションがきつくなり過ぎるためか、欧米やオーストラリアからの強豪馬の参加がなくなってしまった。
 近年アメリカ生産馬が欧州生産馬を凌ぐ勢いになっていた。欧州の生産者がノーザンダンサーの血統に拘り続けた結果、欧州生産馬に軽快なスピードが徐々に欠けていった結果である。最近は欧州の生産者もアメリカ生産馬の血を交え始め、ようやく復調の兆しを見せてきた。欧州の競馬を変えたノーザンダンサーは元はといえば北米カナダのE・P・テイラーという人が生産した馬なのである。ところがニジンスキーのような直仔の血が色濃くなってしまった欧州では、欧州の重い芝でしか勝てない馬が多く出てくるようになってしまったのである。私はテイエムオペラオーの欧州遠征を強く望んでいたのもそのためである。ノーザンダンサーの血統が色濃く出ているオペラハウスは欧州の重い芝でこそと考えていたからだ。今年メイショウサムソンがようやく凱旋門賞に臨んだが時既に遅しであった。サンデーサイレンスのように初仔から最晩年の産駒までムラなく走る馬を出す種牡馬が例外であって、通常は旬というものが必ずあるものである。Wk03
 日本の生産界は欧州馬とアメリカ馬とのミックスで成り立っている。その比率が多少アメリカよりになってきている程度であろう。その結果、アメリカのダートではスピードが足りず、欧州の芝ではパワーが足りないという競馬が続いている。だからこそのドバイなのだが、長距離輸送もあってか、超一流馬の参戦がない。今年はウォッカ参戦で多少は盛り上がったが、やはりポッと行って勝てるほど甘くはなかった。安田記念を使うにしても時間的な余裕があったのだから、少し早目にドバイに入り、プレップレースを叩いて本番というローテーションを考えて欲しかった。その後、安田記念を快勝していることを思えば、あれが彼女の実力ではないことは明かだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

国際レースを視野に入れた番組編成を望む(2)

 今年の秋の天皇賞は強豪牝馬2頭が顔を揃え、史上稀に見る接戦となった。長い長い写真判定の結果わずか2cmの差でウォッカが初めてダイワスカーレットを破った。勝ちタイム1分57秒2は03年のシンボリクリスエスのレコードを0.8秒も上回るものだった。1000m通過がなんと58秒7で飛ばしたダイワスカーレットがゴール前で差し返す力を見せたことにも驚かされた。7ヶ月にわたる長期の休養がなければ勝っていたのではと感じさせるレース振りだった。さらに今年のダービー馬ディープスカイももう1kgハンデを貰えていたらと思わせる素晴らしいレース内容だった。ディープスカイにハナ差までせまったカンパニーも古馬の意地を見せてくれたし、大外から飛んできたエアシェイディも強い馬である。Akiten08
 これだけ強い馬がいるのに、何故世界の舞台に出て行こうとしないのか?世界の舞台で強豪たちと闘うことでさらに日本調教馬のレベルが上がることは間違いはないし、好結果が残せれば日本の生産界にとっても大きなメリットになるはずである。現に天皇賞を勝ったウォッカは春のドバイ・デューティフリーでは4着に破れていた馬だ。これまでダイワスカーレットには敵わなかった馬が初めて勝てた要因に春のドバイでの経験は欠かせないものだったと私は考えている。
 翌3日には園田競馬場でJBCクラシックが行われ、春のドバイでは生彩を欠き大敗したヴァーミリアンが国内GⅠ6連勝を飾った。それもダートでは無敗だった3歳馬サクセスブロッケンを破っての結果である。これもドバイ効果ではないかと私は考えている。ヴァーミリアンは2年連続でドバイワールドカップに参戦しているのである。
 01 日本にはGⅠホースでなければ海外遠征はしないという風潮があるようだが、むしろGⅡ・Ⅲの勝ち馬がもっと海外へ目を向けるべきではないかと考えている。エアシェイディなどは香港やシンガポールへ遠征すればGⅠホースになれる可能性だって充分にあると思っているし、カンパニーも経験を重ねれば海外のGⅠも夢ではないはずなのだ。ウォッカやダイワスカーレットは言わずもがなである。
 私は日本競馬最大の問題は春の天皇賞の3200mであると考えている。今時3200mのGⅠなんて本場のヨーロッパにだってないというのに・・・歴代の春の天皇賞馬の種牡馬実績を見れば一目両全なのだが、春の天皇賞馬で種牡馬として活躍している馬はダービー馬か秋の天皇賞も勝っている馬たちだけである。先に挙げた菊花賞馬2頭の他にもイナリワン、スーパークリーク、クシロキング、メジロマックイーン、サクラローレルなどなどそうそうたる名前が連なっているが、種牡馬として成功したといえる馬はほとんどいない。そもそも天皇賞が春と秋に2度もあることが不思議である。同じ名称のレースが年に2度もある国は多分他にはないだろう。
 私は天皇賞を一本化して春に2000mで行えば、有力な日本馬は無理なく海外に遠征が可能になるのではないかと考えている。どうしても三冠に拘りたいのなら、宝塚記念の時期に三冠最終戦を持ってくるしかないだろう。そもそも3歳の7月に古馬との混合戦をGⅠやっても3歳馬にほとんど勝ち目はない。それでなくとも海外に比べ3歳馬と古馬の斤量差がないのだから。また、欧州並みにダービーを3歳馬の頂点として、秋には凱旋門賞やブリーダーズCで国際GⅠ制覇を狙うことにして、菊花賞はセントレジャーのように春に活躍できなかった馬たちの舞台とするかである。そもそも日本の三冠馬になったからといって国際的な種牡馬としての価値が上がることはほとんどないのだから。それよりももし三冠目が凱旋門賞だったりブリーダーズCクラシックだったりする方がはるかに価値が高いということになる。Wbc01
 メジャーリーグでは日本人の活躍が際立っている。しかし、これとて一日でできたわけではない。野茂、イチローと10年以上の歳月をかけてここに至るのである。中には日本人の有力選手がいなくなるのではという機具もあることは承知している。今年のドラフト会議でも問題が起きている。金にまかせて海外の有力選手を自国内に集めてしまうアメリカのやり方には反発も覚えるが、その結果、アメリカが世界に名だたるエンタテインメントを実現させていることもまた事実なのである。まして競馬の世界は先にも書いたように種牡馬の価値を最大限に高めることが最終目的である。ならば、宣伝効果の最も高い舞台で勝負するのが最も効果的ではないか。野球に関してはオリンピックというアピールの舞台があった。さらにはWBCという国際大会も新たに創設された。まさに世界NO.1決定戦である。競馬に関しては2010年以降のドバイワールドカップがそれに近い存在になるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

国際レースを視野に入れた番組編成を望む(1)

 様々な事情があって難しいことは分かるが、このまま日本の国内だけの競馬を続けていては、それこそまた島国競馬に戻ってしまう。嘗て日本は種牡馬の墓場とまで言われた時期があったことを忘れてはならない。バブルマネーで海外の高級種牡馬を買いあさり日本で飼い殺しの状況にしてしまったのだ。
 サンデーサイレンスこそ海外での評価は高いが、それでも日本での評価とは比べ物にならない程度のものに過ぎない。そうした意味でもディープインパクトの凱旋門賞失格は大きな痛手である。サンデーサイレンスの子供たちはもっと海外でレースをすべきだった。サイレンススズカの痛ましい事故が悔やまれる。ダンスインザダークの故障も悔やまれる。だが、その他にも多くのGⅠ馬がいたはずである。少なくても10勝以上のGⅠ勝鞍を海外で挙げていても不思議はないほどの名種牡馬だったはずである。それがアメリカンオークスでシーザリオが、香港マイルをハットトリックが勝った程度の結果では、死んで行ったサンデーサイレンスには申し訳がなさ過ぎるのではないだろうか?
 父の名と自分の名を世界の競馬史に刻み付けるためにディープインパクトは少なくとも欧州かアメリカのGⅠでの勝利が必要だったし、それができる馬のはずだった。ところが、これだけ強い馬なのに、日本の場合は海外遠征のスケジュールがほとんど頭にないとしか思えない。これが欧州やアメリカなら三冠を達成する前から、凱旋門賞やブリーダーズCクラシックという話が出てくるはずなのだ。現に凱旋門賞に関しては3歳馬が圧倒的な強さを見せている。
 これは日本のレース体系も大きな影響を与えている。三冠レースを5週間で終えてしまうアメリカは極端にしても、日本のように凱旋門賞やブリーダーズCが行われる時期に三冠の最終戦を行っていては日本馬がブリーダーズCはともかく凱旋門賞を勝つことは永久にないのではないかと思ってしまう。さらに距離3000mを越えるGⅠレースの意味合いも考えなければならないと思っている。日本の菊花賞はイギリスのセントレジャーを基にして作られたレースだが、すでにイギリス国内でもこのレースの価値はあまり高くはないのである。凱旋門賞と時期が近いため出走馬が揃わないことが大きな原因である(嘗てあのニジンスキーも三冠を達成して臨んだ凱旋門賞で敗れている)。さらに、クラシックディスタンスが12F(約2400m)になっている現在、果たして3000mを越える距離のレースがGⅠとしての意味合いを持つのかを疑問視する声があることも事実なのだ。
 今年の菊花賞を見ても分かることだが、イギリスのセントレジャー同様春のクラシックに出場できなかった馬たちの活躍の場になっていた。ただ、これはダービー馬が天皇賞に回ったためで、例年ならダービー馬のほとんどが海外ではなく菊花賞を目指すことになる。何故そうなるのかというと、日本には菊花賞より距離の長いGⅠレースがあるからだが、過去に菊花賞しか勝っていない馬で種牡馬として成功したのはダンスインザダークくらいだろう。あのグリーングラスもライスシャワーも後継馬を残すことなく死んで行った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

10・25が歴史的な一日に(3)

 日本の競馬は総じて芝は軽くスピードと決め手が要求される。逆にダートは砂に近くパワーが求められる。ドバイワールドカップにしても2000mで2分を切るようなナドアルシバのダートなら日本の芝馬でもこなせるかもしれないのだ。現にこのレースで最先着したのは第6回のトゥザヴィクトリーなのである。確かにフェブラリーS3着というダート適性は見せてはいるが、ダートのGⅠホースではないのである。こうした傾向が続くかと思われたが翌年、ダートと芝でGⅠを勝っていたアグネスデジタルが6着に大敗するとまたダートのGⅠホースばかりが参戦し大敗を繰り返している。ドバイのダートではゴドルフィンマイルでユートピアが唯一勝っているが、この馬は3歳時にNHKマイルC4着、4歳時にも安田記念4着という芝のGⅠでも結果を残していた馬なのである。
 勿論、日本調教馬が凱旋門賞を勝つという夢は持ち続けたい。その一方であのディープインパクトやエルコンドルパサーでさえ勝てなかったレースであることも確かなのだ。夢は夢として、一度現実に目を向ければ、そこにはドバイやアメリカという選択肢も見えてくるはずである。幸いドバイワールドカップは日本のクラシックシーズンからは外れているので遠征がし易いこともあり、毎年のように参加馬がいる。ただ、スケジュールがきつ過ぎるためなかなか好結果に繋がらないだけだと私は考えている。今年ドバイワールドカップを征したカーリンでさえ、1ヶ月も前からドバイに入り、地元のプレップレースを使って本番に臨んでいる。しかも、自厩舎の誘導ポニーを連れてくるという配慮も欠かしてはいないのである。世界最強といわれた馬でさえこれだけの準備をしているのである。この辺りがステークスマネーがあまりにも安い日本との違いなのかもしれない。勿論、ドバイワールドカップにステークスマネーは必要ないが、普段から高いステークスマネーを支払う習慣があるアメリカでは、必然的に万全な体制でレースに臨むことが義務付けられているのだろう。
 藤沢和雄調教師の今回のチャレンジは不発に終わったが、彼は春にベルモントS参加を決めた時から早目の現地入りでプレップレースを使うというスケジュールを立てていた。残念ながら今回は挫石の影響が長引いてしまい、渡米のスケジュールが大幅に遅れてしまったことも敗因のひとつに挙げられるのではなかろうか。順調に来ていればもう少しいい結果が残せたのではないかと思っている。少なくともオッズ的には2着のヘンリーザナビゲータと同じ評価を受けていたことは事実なのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

10・25が歴史的な一日に(2)

 日本では馴染みのないオールウェザーだが、欧州とくにイギリスでは既にオールウェザーが導入されレースも多数行われている。何せオールウェザーの主原料であるポリトラックはイギリスで誕生したものなのである。オールウェザーでのレース経験のあったイギリス勢が真っ先に今年のブリーダーズCクラシックに注目したとしても不思議はない。そして、今年TV中継を通してその結果を全世界が知ってしまったのだ。
 ブリーダーズCは来年もまた同じサンタアニタ競馬場で行われることが決まっている。今年のブリーダーズCのオールウェザーの特徴は3コーナーからまくり気味に上がってくる差し・追い込みタイプの末脚が炸裂していたことだった。スプリントのミッドナイトルートも前日のレディーズクラシックのゼニャッタも道中最後方から3角まくりで快勝しているのだ。これまでのアメリカ競馬の歴史の中でこれほど差し・追い込みが決まったことはないはずである。それほど近年のアメリカ競馬はパワーのある逃げ・先行馬が活躍してきたのだ。ところがオールウェザーに馬場がかわることによってスピードやパワー一辺倒では勝てなくなってしまったようだ。今年のブリーダーズCクラシックの結果がそれを如術に物語っている。Waremblem01
 アメリカのクラシックレースで欧州のマイラーが勝つなどということを誰が予想しただろう?優勝馬のレイヴンズパスはアメリカ生産馬である。父がElusive Qualityで曽祖父がミスタープロスペクターという典型的なアメリカ血統馬である。それが欧州に渡り芝のレースに対応している間に地元の最有力馬をブリーダーズCクラシックで負かすという結果になったわけだ。ならば、サンデーサイレンスやウォーエンブレムといった米二冠馬を種牡馬としている日本生産馬で勝負にならないだろうか?
 歴史的な背景から日本の競馬界は欧州に目が向き勝ちである。海外遠征といえばヨーロッパという傾向もそこに起因しているように思われる。ところが日本にも目をしっかりとアメリカに向けているホースマンがいる。それは社台の吉田照哉氏である。父善哉が欧州の種牡馬に拘り過ぎ、一度は牧場崩壊の危機を経験した照哉氏は単身渡米し、あのノーザンテーストに目をつけたのである。社台はノーザンテーストで再生し、続くサンデーサイレンスで隆盛を極めることになる。JARを初めとする他の生産者の多くは欧州の種牡馬に入れあげていた時期である。そうして、神の馬ラムタラを手に入れて有頂天になっていた。ところが結果はご承知の通りである。
Lammtarra01  嘗て社台ファームの職員にラムタラの評価について訊ねたことがあるが、一言「あれは高すぎた」という答えが返ってきただけだった。ノーザンダンサー系の種牡馬でも芝の深い力のいる欧州で育ったニジンスキーに代表される直子の血統は日本の軽い芝に対応するのに時間がかかることは目に見えていた。日本のような軽い固い芝にはむしろアメリカ産馬の軽快なスピードが有効と判断した吉田照也氏の目は確かだったのだ。
 日本の馬たちが何故、平坦で軽い芝のアメリカやカナダに遠征しないのか不思議に思っていた。どう考えても日本調教馬に欧州のあの深い芝とタフなコースは不向きである。しかも輸送にも大変な時間がかかるのである。アメリカの西海岸ならわずか11時間足らずだというのに。社台ファームが何故今年のブリーダーズCに馬を送り込まなかったのかが不思議なほどである。しかし、来年は多分違うはずである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

10・25が歴史的な一日に(1)

 ブリーダーズCクラシックに参戦していたカジノドライヴは残念ながらしんがり負けに終わった。GⅠホースが居並ぶ中、キャリア3戦の馬では厳しかったのだろう。逃げ馬不在でハナを切る格好になったが、3コーナーまでは持ったままで楽にいっているように見えた。3コーナーでは鞍上のV・エスピノーザが後ろを確認していたほどだった。ところがそこからペースが一機に速くなり、カジノドライヴはズルズルと後退してしまった。カジノドライヴの走り方を見ていてスローかなと感じた。ところが後でラップを見てみると半マイル(4F)通過が47秒6。1000mの通過でも多分1分を切っていたことは間違いないハイペースだった。まさに芝並みのラップなのだ。最下位には終わったがこの数字を見ればカジノドライヴの能力の高さは充分に伺い知ることができるだろう。年内は休養になるようだが、この馬には来年のドバイで雪辱を果たしてもらいたいものだ。Casinodrive05
 レースに戻ろう、3コーナー過ぎからペースが急に速くなり凱旋門賞3着のデュークオブマーマレイドの外からカーリンが一機に上がって行き、直線では先頭に立った。カーリンの勝ちパターンである。ところが序盤はカーリンより後ろにいた欧州勢の脚色がいい。残り200ヤードでカーリンを間に挟むように内からヘンリーザナビゲーター、外からレイヴンズパスが襲い掛かる。カーリンはあっさり抜き去られてしまい、結局4着に敗退した。
 勝ったレイヴンズパスもヘンリーザナビゲーターも欧州ではマイル路線を歩んで来た馬で、勿論凱旋門賞にも出走してはいない。前走はクイーンエリザベスⅡカップという芝1マイルのGⅠでワンツーフィニッシュを決めていた馬たちだった。それがブリーダーズCクラシックでもワンツー、それも昨年のこのレースを征し、春にはドバイワールドカップも征し1000万ドルホースになったあのカーリンを負かしての結果なのだ。レース後、カーリンを管理するS・アスムッセン調教師が語っていたように”It’s a turf race!!”という一言が全てを物語っていた。
Ravenspass01  先にも触れたように、アメリカの競馬がダートからオールウェザーという人口馬場に移行し始めている。そして、今回ブリーダーズCが行われたサンタアニタ競馬場を含む西海岸地区の競馬場は全てオールウェザーになってしまった。米三冠が行われる東部・中部地区にはダートの競馬場もあるが、流れはオールウェザーへの移行のようである。そのオールウェザーコースはダートよりも芝に近いと云われているのである。そこで迎えた今年のブリーダーズCは史上初となるオールウェザーでの開催となり世界の注目を集めることになったわけである。
 日本からはカジノドライヴ1頭だけだが、UAEを含めた欧州組が大挙参戦を決めた。勿論、ブリーダーズCには芝のレースも多くあり、ほとんどがそれを求めてのものだったが、今年はブリーダーズCクラシックにまで欧州馬が参戦して来たのである。これが例年通りダートコースで行われていれば欧州の芝のGⅠホースが参戦することはなかったはずである。そして欧州GⅠ馬のワンツーフィニッシュという結果に終わったのだ。新たな競馬の歴史が幕を開けたと云っても過言ではないだろう。これはアメリカのホースマンにとって、いや世界のホースマンにとっても凱旋門賞を欧州調教馬以外が征したに等しい快挙なのである。2008年10月25日という日は後に世界競馬のターニング・ポイントと呼ばれることになるかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

注目のブリーダーズC開幕!!

 いよいよブリーダーズCが幕を開けた。昨年から賞金総額でドバイ・ワールド・カップに対抗するために金・土の2日間開催となっているが、実績がないため金曜日開催のレースにはノン・グレードのレースも含まれている。G外はノン・グレードレースである。
  ブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズターフ(2歳牝、米G外・芝8F、12頭立て)は、J.レスカーノ騎手騎乗の5番人気マラム (Maram 牝2、米・C.ブラウン厩舎)が、ハートシェイプト(Heart Shaped)をハナ差抑えて優勝した。勝ちタイムは1分35秒15(良)。さらに1馬身差の3着には1番人気ララー(Laragh)が入った。
 マラムは、父Sahm、母American Dreamer(その父Quest for Fame)という血統の米国産馬で、今年8月にデビュー勝ちを収めると、2戦目となった前走のミスグリジョS(米GⅢ)も制し、今回の勝利で無傷の3連勝となった(内重賞2勝)。
 続くブリーダーズCフィリー&メアスプリント(3歳上牝、米G外・オールウェザー7F、13頭立て)は、G.ゴメス騎手騎乗の2番人気ヴェンチュラ (Ventura 牝4、米・R.フランケル厩舎)が、1番人気インディアンブレッシング (Indian Blessing)に4馬身もの差をつけて快勝した。勝ちタイムは1分19秒90(良)だった。さらに2馬身差の3着にはザフティグ(Zaftig)が入っている。
 ヴェンチュラは、父Chester House、母Estala(その父Be My Guest)という血統の米国産馬。一昨年10月にイギリスでデビューし、3勝を挙げてアメリカへ移籍。移籍後は今年のジャストアゲームS(米GⅠ)を制すなどの活躍を見せていた。通算成績15戦7勝(重賞3勝)。
 金曜日の3戦目はブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(2歳牝、米GⅠ・オールウェザー8.5F、13頭立て)は、M.スミス騎手騎乗の1番人気スターダムバウンド (Stardom Bound 牝2、米・C.パーシェ厩舎)が、ドリームエンプレス(Dream Empress)に1馬身1/2の差をつけて優勝。勝ちタイムは1分40秒99(良)。さらに1馬身1/2差の3着にはスカイディーヴァ(Sky Diva)が入った。
 スターダムバウンドは、父Tapit、母My White Corvette(その父Tarr Road)という血統の米国産馬。今年7月のデビューから2戦していずれも2着に敗れていたが、未勝利で臨んだデルマーデビュータントS(米GⅠ)で初勝利。続く前走のオークリーフS(米GⅠ)も制しており、今回の勝利でGⅠ3連勝となった。通算成績5戦3勝(重賞3勝は全てGⅠ)。
 金曜開催は牝馬のレースだけだったが、オールウェザーのタイムを見る限り馬場は悪くないようだ。というより2歳牝馬の8.5F(約1700m)で1分40秒99はおそらく早い部類に入るのではないだろうか。それにしても未勝利馬がGⅠ3連勝とはいかにもアメリカらしい夢を感じる。アメリカでは馬主も日本のような厳しい制約はなく、お金持ちでなくても、例えばトラック運転手やタクシー・ドライバーでも競争馬を持ち、運が良ければGⅠに挑戦することも可能なのだ。
 日本にも共同馬主という制度はあるが、お金のあまりない人が自分の競走馬を持つことはできない。国債でさえ個人で買える時代なのだから、そろそろJRAも馬主資格を見直す時期にきているのではないだろうか?国際的な株安は日本の馬主に大きな影響を与えることは間違いはないのだから・・・
 そしていよいよ今日の最終レースがカジノドライヴが出走するブリーダーズCクラシックだ。世界最強馬カーリンや欧州の強豪馬相手に日本調教馬がどこまでの走りを見せてくれるかに注目したい。これが3度目の挑戦になる藤沢和雄調教師にもエールを送りたい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

新たな歴史の幕開けか?(4)

 カジノドライヴは前哨戦を使った後も順調のようで、現在は以前ダンスインザムードも滞在したことのあるハリウッドパーク競馬場のポリトラックで本番を待っているようだ。レース間隔がないため特に強い調教は行わず本番に向かうとのこと。
 オールウェザーコースで行われる初めてのブリーダーズCがどのような結果に終わるのか興味は尽きない。もし仮に欧州調教馬が快勝するようならブリーダーズCそのものの意味合いも変わってしまいかねないと考えている。現状でも芝のレースでは欧州馬の活躍が顕著なのである。加えてオールウェザーでも欧州勢が優位となればアメリカ競馬の根幹に関わる大問題に発展する可能性も秘めている。
 長期的に見ればダート主流という世界的に閉鎖的な環境から脱皮して、欧州の芝にも対応できる馬作りが可能になるという見方もできる。ダートで活躍した馬たちが種牡馬として日本に輸入され、サンデーサイレンスを代表格とする米国生産馬がラムタラのような欧州最強馬より総じて好成績を残していることを考えてもアメリカ生産馬の能力の高さは相当なものだと考えている。しかし、アメリカ生産界がダート競馬に拘っていては世界の舞台から疎外されてゆく可能性もまたあることになる。アメリカ産駒のスピードに関する評価は非常に高いものがある。ドバイワールドカップを見れば明らかだが、ゴールデン・シャヒーンというダート6Fのレースの優勝馬はほとんどがアメリカ調教馬が占めているのである。
 逆に長距離レースがほとんどない(2000mを越える距離のレースはベルモントSを含めて3つしかない)アメリカ馬はスタミナという面で問題を残すことになる。一時期に三冠レースを全て行うアメリカでもアファームド以来30年間も三冠馬が誕生していない。その理由は厳しいローテーション(5週間で三冠レースが全て行われる)もあるのだが、特に三冠の最終戦ベルモントSが1マイル1/2(約2414m)という距離で行われることにあるような気がしている。今年も三冠を期待されながらあのビッグブラウンも最終関門を突破できなかったのである。
 わずか400m程度のことだが、欧州のクラシックディスタンスが2400mということを考えれば、この2Fの課題がアメリカ調教馬の欧州進出を困難にしていることは事実である。勿論、種牡馬としての価値が下がるということはない。アメリカ生産馬のスピードという要素は世界の競馬に未だに新鮮な血を供給し続けていることは間違いないのだ。日本もノーザンテーストやサンデーサイレンスといったアメリカ生産馬に救われた国のひとつなのである。
 しかし、何でも世界一になりたがるアメリカ気質はレースでも世界一になりたいのである。そのためには芝で1マイル1/2という距離を克服しなければならない。今年のオールウェザーコースでアメリカ馬が欧州馬に負けた場合でも、アメリカはオールウェザーコースでのブリーダーズC開催を辞めることはもうできないはずである。それだけ、アメリカ国内ではオールウェザーコースが増えているのである。
 一方の欧州勢のイギリスでもオールウェザー専用競馬場が誕生するようだ。欧州でもオールウェザーコースはあり、レースも行われているが、日本のダートと似たような使われ方しかしていない。イギリスがダートではなくオールウェザーを採用しているのは気候的な問題で、冬の期間も調教などができるように配慮されたもののようだ。寒さの厳しいイギリスでは冬期間は障害競走が主になり、平地競争はほとんど行われない。そこで、オールウェザーの競馬場を作り冬期間にも平地競争をしようと考えているようだ。ドバイ・ワールド・カップ開催が3月ということを考えると、冬期間も平地競争ができることが理想なのだろう。
 何はともあれ注目のブリーダーズCはもう明日に迫っている。果たしてカーリンの連覇はあるのか?オールウェザー・コースで欧州馬がどんな走りを見せるのか?そして、カジノドライヴはどこまで善戦できるのか?もしカジノドライヴがブリーダーズCクラシックを征するようなことがあれば、間違いなく新たな競馬の歴史が幕を開けることになるのだが・・・

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新たな歴史の幕開けか?(3)

Boldruler_2  ここで、カジノドライヴについて少し説明を加えておこう。カジノドライブ(牡3歳)は父はMineshaft、祖父はA.P.Indyというボールドルーラ系。母はBetter Than Honour(母の父Deputy Minister)でノーザンダンサー系である。
 特に母Better Than Honourは2頭のベルモントステークス優勝馬を生んでいる。半兄のジャジルと半姉のラグズトゥリッチズである。特に半姉のラグズトゥリッチズはケンタッキーオークスも勝っている名牝である。アメリカ三冠で最も距離の長いベルモントSで2頭の優勝馬を出しているのは母系のノーザンダンサーの影響だろう。
Northerndancer_2  カジノドライブは2006年のキーンランドセプテンバーセールで多田信尊に95万ドル(約1億450万円)で落札されて日本に輸入された。その後ファンタストクラブで育成され、2007年の春先に美浦トレーニングセンターの藤沢和雄厩舎に入厩し、夏ごろに競走馬デビューを予定されていたが、6月頃に調教中に騎乗した青木芳之を振り払って放馬しその際に馬がつまずいた結果、フレグモーネを発症し放牧に出されるなどのアクシデントがありデビューが遅れてしまった。Csd03
 傷が癒えて帰厩したのは年が明けてからで、デビュー戦は2月23日の京都競馬場での新馬。そこをなんと後続に2秒3という大差を付け圧勝。その後は、血統背景、新馬戦での勝ちっぷり、また調教師サイドはデビュー前からアメリカ遠征を意識していることや半兄・ジャジル、半姉・ラグズトゥリッチズに続くベルモントステークス制覇を期待する声もあり動向が注目されていた。
 そして4月14日に正式にアメリカ遠征を行うことが日本中央競馬会から発表された。同じ藤沢厩舎に所属して、同じ山本オーナー所有のシャンパンスコールとスパークキャンドルの2頭を帯同馬として引き連れて4月30日に渡米した。
 遠征初戦のピーターパンステークス(GⅡ)の鞍上には斤量の問題により当初予定されていた武豊から藤沢厩舎と馬主に縁のあるケント・デザーモに乗り替わることが発表された。万全の体勢で迎えた5月10日のピーターパンステークスでは1番人気に支持され、2着に5馬身3/4差をつけて圧勝。この勝利は日本調教馬によるアメリカダート重賞においての実質的な初勝利となった。これはまさに日本競馬の新たな歴史の幕開けであると感じた。
Bgb01  次走のベルモントSはケント・デザーモが二冠馬ビッグブラウンの主戦ジョッキーであることから、当初武に騎乗依頼をしていたようだがが、結局アメリカの騎手に依頼すると5月18日に発表され、その後の協議の結果エドガー・プラードを鞍上に迎えることが決まった。
 しかし、先にも記したようにベルモントS前日の6月6日に左後脚に挫石を発症したことが明らかになり、6月7日早朝に大事をとって出走を取り消した。その後6月11日に帯同馬らと共に帰国し、競馬学校で検疫を受けた後はファンタストクラブに放牧へ出され休養に入った。V_espinoza_2
 休養を終えて8月16日に一旦函館競馬場に入厩して8月22日に美浦へ帰厩した。当初は9月上旬にもブリーダーズカップクラシック出走へ向けて渡米する予定だったが調整が遅れたために日程をずらして9月24日から9月30日まで美浦分場で輸出検疫を行い、検疫後の9月30日に、ブリーダーズカップクラシックとそのステップレース両方にビクター・エスピノーザが騎乗することが発表された。
 そして10月1日に帯同馬のシャンパンスコールとともに成田空港を出発し、約11時間の空輸の後にロサンゼルス国際空港に到着した。今年のブリーダーズCが西海岸のサンタアニタ競馬場で行われることは、輸送時間の面での負担は軽減してくれたようだ。到着後はハリウッドパーク競馬場で検疫を受け、ピーターパンステークス以来の実戦となった10月12日にサンタアニタ競馬場で行われた条件戦に出走し、単勝1.4倍の1番人気の支持に応え勝利していよいよ本番を迎える。

 昨日ブリーダーズCクラシックの出走馬と枠順が発表され、カジノドライヴが2枠にカーリンは9枠に決まった。やはりA・オブライエンはデュークオブマーマレードとヘンリーザナビゲーターを送り込んできた。それぞれ4枠と5枠に並んでの出走となる。全出走馬の出馬表についてはJRAのWebサイトでご確認下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新たな歴史の幕開けか?(2)

 アメリカの競馬はカジノドライヴにように1勝馬であっても追加登録料さえ支払えばレースに参加することが可能な半面、莫大な追加登録料を支払わなければならない。例えば父が該当レースの勝ち馬であれば優勝賞金の9%といったルールがあるのである。そうした該当要件を満たしていなければ20%以上もの追加登録料を支払わなければならくなることもあるのだ。
Apindy  幸いカジノドライヴの場合、祖父のA.P.インディがブリーダーズCクラシックの勝ち馬であり、彼自身春にピーターパンSという重賞を勝っていることから、ある程度減免されるのだろうが、それでも数千万という追加登録料を支払うことになるはずである。
 今年のブリーダーズCは何といってもディフェンディングチャンピオンのカーリンがいる。当初は今年二冠(ケンタッキーダービー・プリークネスS)馬のビッグブラウンも注目されていたが、裂蹄が再発して早々と引退が発表されてしまった。JCにも登録があっただけに残念な結果となってしまった。また、カーリンとのマッチレースの話題などもアメリカのメディアでは取上げられていたのだが・・・Curin01
 では、カーリンで断然かというとそうでもなさそうなのが、今年のブリーダーズCなのだ。確かに昨年あの泥んこ馬場を後方から鮮やかに指し切って見せたブリーダーズCや先行して後続を7馬身以上もぶっちぎった今年のドバイ・ワールド・カップのレース振りを見る限りダートでは世界最強馬であることは間違いない。
 ただ、出走予定馬を見てみると分かることだが、今年はヨーロッパからヘンリーザナヴィゲーター、デュークオブマーマレード、レイヴンズパスといった欧州のGⅠホースたちの名前があるのだ。ヘンリーザナヴィゲーターは英愛2000ギニーなど芝GI4勝。デュークオブマーマレードはKジョージなど芝GI5勝といったバリバリの芝馬だ。それが、どうしてダートが主流のアメリカへ遠征してくるのかというと、今年ブリーダーズCが開催されるサンタアニタパークは先にも記したようにダートではなくオールウェザーというポリトラックなどを使用した人口馬場だからなのだ。
Poritruck01  日本の競馬ではほとんど耳にすることはないが、オールウェザーコースは既に欧米では多く使用され始めている。特にアメリカでは西海岸の競馬場が全てオールウェザーになってしまったほど、その利用が進んでいる。
 その理由はダートや芝と違いコースコンディションの維持がし易いことと、安全性だといわれている。特に雨の影響で調教やレースができないことの多いアメリカでは止む終えない措置と考えられている。しかし、ここ1・2年のアメリカ競馬を見ていると、このオールウェザーコースは芝とダートの中間といった感じで、ダートでは強いがオールウェザーでは全く走れないという馬が数多く出てきている。また、これまで芝にしか実績がなかった馬がオールウェザーコースでいきなり好走してしまうということも起きているのだ。Dom01
 つまり芝向きの馬でも充分にこなせてしまう可能性が高くなったという見方が主流になりつつあるのである。そこに眼を付けた名伯楽A・オブライエンがヘンリーザナヴィゲーターとデュークオブマーマレードの2頭を送り込んでこようとしているのだ。
 逆に芝が全くダメで一時はブリーダーズCを辞めてJCダート参戦も視野に入れていたのがカーリンなのである。彼はオールウェザーコースを1度も走ることなく今年のブリーダーズCに臨むことになる。カジノドラヴは前走の一般戦でこのオールウェザーコースを経験し、勝てたことはプラス材料といえるだろう。
 ただ、GⅠを4勝も5勝もしている欧州最強馬も相手にしなければならないので、勝てるかどうかは別にして、何とか過去最高着順5着以内を期待している。そして、JCダートで凱旋を果たしてくれることを願って止まない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«新たな歴史の幕開けか?(1)